自然を愛する気持ちや北海道での撮影、一人二役や主人公の職業、中年の愛、アナログな恋愛とデジタルな恋愛―。このドラマには、あらゆる面で私が描きたかったことが、すべて複合的に入っています。チャン・グンソクさんはこれまでカリスマ性あふれる役柄を演じてきましたが、私の作品ならではのソフトなキャラクターも似合うと思っていました。現代のパートの気難しいキャラクターはもちろん、70年代の内気な青年の姿も予想以上に演じてくれて、演技力のギャップの幅広さに驚かされました。ユナさんは「少女時代」としてパワフルなダンスと歌を披露していますが、外見的には古典的な魅力を持っていると感じていました。彼女も私の予想通り、明るく活発な女性と内気ではにかみ屋な女性、その両方を見事に表現しています。表面的には悪い男に見えても愛する人の前では涙を流し、自分を犠牲にすることができる。時代が変わっても変わらないそんな愛が、この映画のテーマです。若い俳優たちと一緒にこのドラマの世界に入り込んで疑似体験をしながら、雨の日に恋人と出会うようなときめきを感じていただければと思います。

監督:ユン・ソクホ

1957年、ソウル生まれ。90年代から数々のドラマの演出を手がけ、『秋の童話』(00)、『冬のソナタ』(02)、『夏の香り』、(03年)『春のワルツ』(06)の「四季シリーズ」が韓国のみならず日本、アジアでも大ヒット。韓流ブームを牽引する存在となる。06年 には『冬のソナタ ザ・ミュージカル - Winter Sonata, The Musical』の総合演出も。

脚本:オ・スヨン

1968年生まれ。代表作に『イヴのすべて』(00)、『スターの恋人』(08)など。『ラブレイン』は『秋の童話』(00)、『冬のソナタ』(02)に続く、ユン・ソクホ監督との顔合わせとなる。著書に『冬のソナタ 新しい物語』。

愛は、まぶしいほど美しいだけに
胸が痛むほど哀しくもあります。

時に幸せすぎてわれ知らず涙が流れ、
時に哀しみのなかで幸福を感じる瞬間があります。

雨も、愛に似ています。
雨は幸せな時も哀しみの時も、等しく降りそそぎます。
雨の降る日、私たちは一緒に過ごす温かさに幸せを感じ、
雨の降る日、むかしの思い出の苦さに涙します。

雨が降る日には愛の幸福感と哀しみの思い出が私たちの心に降りそそぎます。

このドラマでは、‘愛の瞬間’を愛の属性にも似た‘雨’を通じて描いてみようと思います。
1970年代と世代を超えた2010年に、
愛する人びとに、等しく降りそそぐ雨をとおして
いま始まったばかりの愛の幸福と哀しみ、
いまは思い出となってしまった愛の過去と現在を描きます。

人びとの会話が行きかう賑やかな大通り、留まることを知らずにめぐる日常のなかで、
ほんのつかの間じっと目を閉じ、窓の外の雨音に耳をすませ誰かを思い浮かべ るように、
その忙しい歩みを、ワンテンポ緩めてみませんか?

このドラマは、
可憐な花に水をやる花屋の娘さんのように、
雨降りの午後、甘美な音楽を聴かせてくれるレコード屋の店員のように、
遅い夜、疲れた私たちに温かなスープをたっぷりと汲んでくれる
人情厚い食堂のおばあさんのように、私たちの人生に温かなひとつの休止符となるでしょう。

乾いた現実を潤す恵みの雨のような美しい恋の話が、
感性のカタルシスと温かな慰めを与えてくれる。
そんなドラマをお見せします。

時代が様変わりしても
世代が移っても
人が変わっても
恋はいつでも人を惹きつけ、ときめかせ、魅惑し、心を動かします。
古典的で感性的なラブ・ストーリーと
トレンディー感覚の出会い
消費するドラマではなく、心に生き続けるドラマを作ろうと思います。

この世に愛し合う人びとがいる限り、
美しく温かなドラマは永遠であると信じます。

ン・ソクホ